一九四五 占守(しゅむしゅ)島の真実 少年戦車兵が見た最後の戦場 (PHP新書)

1945年8/14我が国はポツダム宣言を受諾し、翌日、正午天皇陛下の玉音が放送され、戦争終結ということになるのですが、実はこの後も大規模な戦争が継続されていたという事実は、既によく御存じのことと思います。ヤルタ協定の結果、ソ連は日本に参戦することになるのですが、その結果、満州への侵攻、さらに、8/15以降の8/17深夜、突如として、千島列島の最北端の占守島に侵攻を開始します。スターリンの狙いは、日本領土である南樺太、千島列島の占領、さらには、北海道の北半分の占領にありました。玉音放送を聞いて武装解除しかけていた日本陸軍は、ソ連の進行を食い止めるため、直ちに防戦態勢に入ることになります。当初、ソ連は日本軍を甘く見ていて、数日のうちに日本軍を蹴散らし、南下、北海道侵攻をもくろんでいたようですが、比較的被害が少なく、食料、弾薬等の備蓄もあり、さらに、米軍の上陸を想定して、充分の備えのあった日本軍は、ソ連に対し猛烈な反撃を加えます。戦いは、日本有利に進んでいましたが、既にポツダム宣言を受諾していたため、8/22降伏、そして、21日武装解除という結果に終わります。しかし、激烈な戦闘が終わり、やっと日本に帰れると思っていた彼らに待ち受けていたのは、シベリア抑留という過酷な現実だったのです。本書は、著者による現地取材、残された当時の資料、さらには、生き残った者兵士への取材、等を用い、占守島の戦闘の真実、さらにはシベリア抑留を立体的に浮かび上がらそうとしたものです。本書を読んで、戦争の生々しい現実、シベリア抑留の理不尽さが、よく理解できました。もし彼らの活躍がなければ、北海道は、いまだ分割されたままの状態であったかもしれません！今北方4島の帰属をめぐってロシアとの交渉が続いていますが、これらは日本領土であるというのは当たり前のことです。南樺太、千島列島も日本領土です。しかし、そうなっていないのは、日本が戦争に負けたからなのです！私たちは、このことを深く肝に銘じておかなければなりません。戦争体験が風化し、私たちは平和を満喫していますが、この陰には多くの人達の犠牲があったことを忘れてはいけないのです！！戦争の生き証人が少なくなった今、本書は、その事をもう一度思い起こさせてくれます！！